LIFE AT ASICS #02
「アスリート認定」で
仕事も競技も全力投球
働くパラアスリートとして
メダルを目指す
株式会社アシックス 人事部
2023年入社
アシックスの「アスリート認定」制度を活用し、人事部で働きながら円盤投げでも好成績を残しているパラアスリートにインタビュー。仕事と競技の両立の仕方、障がいの有無に関わらず個々の力を発揮できるアシックスの職場環境についても教えてもらいました。
所属されている部署と
普段の仕事内容を教えてください。
人事部の組織・人財開発チームで、主に若手社員の育成を担当しています。新入社員として入社したばかりなので、今は懸命に仕事を覚えているところですが、競技活動だけでなく将来のキャリアを見据えて早期に業務を体得し活躍していきたいと考えています。
パラアスリートになったきっかけと
主な戦績を教えてください。
中学1年で陸上部に入り、円盤投げや砲丸投げといった投擲(とうてき)競技を始めました。先天性の脳性まひの影響で左半身が不自由なのですが、当初は健常者と一緒の部活動として競技を行い、高校からはパラの大会にも並行して出場するようになりました。高校2年のときに世界パラ陸上競技ジュニア選手権の砲丸投げと円盤投げで金メダルを獲得し、その後は日本体育大学に進学し競技を継続。新卒でアシックスに入社した2023年は、円盤投げで世界パラ陸上競技選手権4位、アジアパラ競技大会では銀メダルを獲得しました。現在は来るパリでのパラリンピックに向けて練習に励む毎日です。
アシックスに入社することになった
きっかけは?
大学在学中は公務員試験の勉強をしたり、一般採用枠で企業に応募するなど、競技を続けることにはこだわらず就職活動を行っていました。そのタイミングでアシックスの「アスリート認定」という、社員として仕事をしながら競技活動ができる制度を知りました。私としては一般採用制度で就職する方向で気持ちが固まりつつあったのですが、これまでの実績を生かして競技も続けることができるので、「これは!」と応募しました。
アシックスの「アスリート認定」とは
どのような制度なのでしょうか。
練習や大会出場といった競技活動を業務とみなしてもらえる制度です。アスリート認定を受けるには、競技団体から「強化指定選手」と認められた選手であることや、世界記録もしくは日本記録を保持していることなどが条件になります。アスリート認定を受けると、業務に従事する時間と競技活動に専念する時間を柔軟に調整できるだけでなく、競技活動に関わる費用や競技で使用するアシックス製品のサポートなどを受けられます。仕事と何かを両立させるという意味では、アスリート認定も多様な働き方を認めるアシックスならではの制度の一つと言えるかもしれません。
仕事と競技活動のバランスについて
教えてください。
私の場合は基本的に半々ですが、大きな試合が近づくと練習などの競技活動に時間を割くことになります。今年はパラリンピックがあるので、競技にフォーカスする時間が多くなるのではないでしょうか。
練習は母校の大学の陸上競技場を間借りして行っているため、こちらの好きな時間にできるというわけではないんです。練習スケジュールは、競技場が使えるタイミングとミーティングなどの日時が動かせない業務のタイミングをうまく調整しながら立てています。
当然ながら私はアスリートとしての結果も求められる立場なので、当初は日々の業務をこなしながら試合で結果が出せるか不安でした。それでも1年目からまずまずの成績を残すことができ、仕事と競技の両立もだいぶ板についてきたかなと感じています。
仕事と競技を両立させる上で
苦労したことはありますか?
入社当初から、仕事の面でも早くアシックスの戦力になりたいと考えていました。しかし競技との兼ね合いでどうしても勤務時間が限られるため、思うように業務を進捗させられず歯痒く感じることがあります。会社からは「競技にしっかり取り組んでほしい」と言われているのですが、もっとバリバリと仕事ができたらとも思う日々……。これは競技を続けている限り、ずっと向き合っていかなければならないテーマだと思います。
逆に両立する中で得られる喜びや
やりがいはありますか?
中学時代からスポーツ中心の生活を送ってきたのですが、こうして競技と仕事を両立できる環境が与えられ、少しずつ社会人としての成長を実感できているのが嬉しいです。
練習のスケジュールを組んだりメニューを考える上で、仕事で得た知識や経験が役に立っていると感じます。大学時代は一日中何も考えずにひたすら練習に明け暮れていたのですが、実はアシックスで働いている今の方が記録が伸びているんです。おそらく仕事を通じて視野が広がり、自分なりに考えて競技に取り組めるようになったからでしょう。時間が限られているので、学生の頃よりも効率よく練習ができているのも大きいと思います。いずれはアスリートとしての経験を仕事で生かし、相乗効果を生めれば最高ですね。
アスリート認定制度を活用して、
メリットを感じたのはどんな時ですか?
アスリートとしての広報活動の面ですね。私のように仕事と競技を両立しているパラアスリートがめずらしいためか、テレビや新聞で取材していただく機会が増えました。メディア等への露出が増えるのは選手である私自身にとっても、パラスポーツ全体にとっても良いことだと思っています。私が露出することでアシックスという企業のアピールにも繋がればなお良いですね。
アシックスでは障がいの有無に
かかわらず、
誰もが力を発揮できる
環境の整備に力を入れています。
ご自身でそれを感じた場面は
ありますか。
入社してすぐのことだったのですが、障がい者雇用やバリアフリーについて学ぶ講義がありました。障がい者雇用について知ろう、学ぼうと積極的に取り組む会社の姿勢に良い意味で驚かされました。私自身が違和感なく快適に仕事ができていることから、多様性に理解がある会社であることを実感しています。私は幸い、日常生活での介助や補助は必要ないのですが、もしそういう方がいたら率先してサポートしたいです。障がいがあっても「アシックスで働いてみたい」と思ってくれる人が増えるのは、私としても嬉しいことですから。
最後にパラアスリートとしての目標と、
今後アシックスでどんなキャリアを
築いていきたいかを
お聞かせください。
パラアスリートとしては、パラリンピックでのメダル獲得が大きな目標となります。仕事と両立させながら、4年に一度の大舞台でどんな結果が出せるか楽しみです。「アスリート認定のおかげでメダルが獲れました」と胸を張って言えたらいいですね。キャリアについては、現状に満足しないことが大事。組織・人財開発チームの業務では実際の研修に立ち会う機会が多いのですが、アシックスの社員の向上心の強さや目標へ突き進んでいく姿勢などを見ていると、自分も見習わなければと思わされます。競技で仕事が疎かにならないよう、いずれは仕事と競技を「50対50」、いや、「100対100」のバランスで両立させられるように頑張ります。
*記載内容は取材当時のものです。